『半七捕物帳』で知られる作家、岡本綺堂(おかもと きどう)による随筆「銀座の朝」は、20世紀初めの1901年、明治34年の作品です。 夏の朝、街が静かに動き出す様子を尾張町交差点(現在の銀座4丁目)にいると思われる語り手が、その目線をカメラのようにして、行き交う人々の風俗、さまざまな職種の人たちの様子を描いています。 そんな明治34年の“銀座の朝”(テキスト)と、令和元年のありのままの“銀座の朝”(映像)を合わせ、日常の中の約100年の隔たり、現在とのズレ、見えない時間のレイヤー、映像には映らない「風景」等々を浮かび上がらせようという試みです。